薪について

Standards of firewood

薪の規格

ヨーロッパでは薪の規格があり、1mが基準になっています。それを1/2 、1/3、 1/4にカットして販売されています。更にトーンヴェルクは1本の薪の太さも外周24cmまでと厳格に決められています。薪サイズは燃焼効率や燃焼温度に大きく影響します。トーンヴェルク・ストーブは、薪のサイズを守って初めてポテンシャルが最大限に発揮される様に設計されており、その為に乾燥はもちろんですが薪サイズも極めて重要な要素なのです。
またストーブの出力や蓄熱量は薪の量に依存し、太過ぎる薪、長過ぎる薪は、ストーブのパフォーマンスを低下させます。
メーカーも薪の規格に合わせて効率の良いストーブの開発をしていますので、薪のサイズは守りたいです。

Unit of firewood

薪の単位

Drying of firewood

薪の乾燥

木材乾燥の仕組み

木材燥の過程には、自由水が蒸発するステップ1と結合水が蒸発するステップ2とに分かれます。自由水とは比較的自由に移動できる水の事で、この自由水が完全に蒸発した時の含水率は約30%で繊維飽和点といい、短期間で蒸発します。繊維飽和点以後は、木材中の構成成分と結びついている水(結合水)が蒸発を始め、この時初めて木材に割れや収縮が始まり、目視において乾燥してきた事が確認出来ます。
天然乾燥は人口乾燥より遅いとされていますが、厚さ25mm以上の硬木はかえって早い場合もあり、木材乾燥の不思議さを感じさせてくれます。 結合水を蒸発させるには長期間を要します。一般的に乾燥木材は20%を下回る状態を指しますが、湿度が高い我が国に於いては15%〜16%が限界値と云われています。

短期間で乾燥させるには

木材乾燥の重要条件は通風ですが、繊維飽和点を超えた木材は、木材中心付近の結合水が表面に移動し蒸発していきます。蒸発した水分は風によって運ばれ拡散し乾燥を促します。 天然乾燥させる要素には温度、湿度、風速が関係しますが、この自然条件を操る事は出来ません。従って薪を効率よく乾燥させるには気温が高く湿度の少ない時期で、梅雨時は避けなくてはなりません。また伐採する時期は紅葉の始まる頃から12月下旬までが最も樹木は水を吸い上げていませんから、この時期に行なわれるのが良いでしょう。
薪の乾燥には前記した様に風が重要ですから、伐採後すぐに薪を割り始め、春の日差しが強くなったシーズン終了直後には薪棚に薪が積み上がっており、乾燥がスタートしている事が相応しいと云えます。
また、初期乾燥の段階では雨に打たせる事も、薪を早く乾燥させるには有効です。5月に入ると乾燥が急速に進む時期ですから、この頃には,次シーズンの薪が薪棚に積み上っている必要があります。

薪を積み上げる

薪の積み方も乾燥の早さを大きく左右します。1本1本の薪に充分風が当たる様に、2cm〜3cmほどの隙間を作りながら積み上げる事が非常に重要です。そして薪棚は建物、壁際、樹木等の陰を避け、陽当たりがよく、水はけ、通風のよい場所を選びます。そして通風の妨げにならない様に雑草等もこまめに取り除きます。地面からは30cm〜40cm程の高さから薪を積み上げます。時々地面から直接薪を積み上げている光景を目にしますが、これでは下の薪が乾燥しません。そして薪棚には屋根を設けます。シート等で覆う事は蒸発した水分が風によって拡散されませんので、乾燥が著しく遅くなります。そして薪棚は単に薪の保管を行なうものでなく、薪を乾燥させる装置であると認識し、その目的の為に設計されなければなりません。

仕上げ含水率

このように薪作りを行なうと、1年でも十分含水率を落とす事ができます。この含水率計は5㎝の深さまでの平均値が表示されるようになっています。ここまで乾燥した薪はきれいに燃えるばかりでなく、煤の量も極めて少ないのです。よく乾燥した薪を使う事で、寒い冬を快適に過ごせる事は言う迄もありませんが、周りへの環境、安全性においても貢献します。
薪の乾燥はユーザーにとって最も大切な仕事になるのです。

薪乾燥の裏技

薪を効率よく乾燥させるには、初期乾燥の段階において雨、又は水の中に入れて乾燥させる方法があります。この方法は昔から行なわれている伝統的な乾燥方法で、結合水を自由水に置き換え、中期乾燥時間を大幅に短縮出来ます。
昔は、伐採の後、丸太を筏に組み、川を流して運んでいました。この方法を行なうと乾燥が早まるばかりでなく、木材の色合いも良くなるという効果もあったそうです。運搬、乾燥、木材の品質向上の一石三鳥の効果をもたらしていた先人の知恵には脱帽です。
こうして初期乾燥をした木材は、1年で充分満足出来る燃料として価値を見いだせます。勿論その後の薪の積み方によっても乾燥時間は大きく左右されますから、一つ一つの行程と作業は慎重にされるべきです。